読了 約7分 業種課題

逆回転は、どこで止められるのか

地方の三重苦は、条件が変われば逆転しうる構造でもあります。ただし、止められる場所は限られています。

連載 強みが、逆回転している 第4話/全4話
地方の三重苦のうち、条件の変化で反転しうる部分と、反転しない部分を分けた図
目次
  1. 三重苦と呼ばれるもの
  2. 条件が変われば反転するものと、しないもの
  3. 地方にこそ、本物を持つ企業が多い
  4. ALTEVOはこう考えています
  5. 私たちに解決できないこと
  6. 反証:分けても、動かせない場合があります
  7. 次回で、この連載は終わります

ここまで3本、強みが不利に働く構造を扱ってきました。同じ逆転が、地域の単位でも起きています。

三重苦と呼ばれるもの

地方の中小企業が抱える課題として、3つがよく挙げられます。

人口の流出
消費の減少
物流コストの増加

どれも事実です。そして、どれも個別の企業の努力では動かせません。

ただし、この3つは性質が違います。

条件が変われば反転するものと、しないもの

三重苦のうち、反転しうるのはどれか

人口の流出     ★ 働く場所の制約が外れれば、反転しうる
消費の減少     ★ 売り先が地域内に限られなければ、別の話になる
物流コスト     ★ 距離は変わらない。反転しない

最初の2つは、前提条件が変わると意味が変わります。

リモートワークが選択肢になれば、住む場所と働く場所を分けられます。ECやD2Cを使えば、売り先は地域の外になります。どちらも、この10年で現実的な手段になりました。

3つ目は変わりません。距離は距離のままです。重量物を扱う事業では、この制約は消えません。

つまり、三重苦のうち2つは構造が変わり、1つは変わっていない。ここを分けずに「三重苦だから厳しい」と括ると、動かせる部分まで動かせなくなります。

地方にこそ、本物を持つ企業が多い

地方には、長く続いてきた製造業や加工業が数多くあります。技術の蓄積があり、品質も高い。

ただ、この連載で扱ってきた問題が、そのまま当てはまります。

丁寧さが、速度の市場で評価されない
謙虚さゆえに、外に知られていない
続けてきた手段が、理由ごと固定されている

そして、それを翻訳する相手が地域内にしかいなかった。元請けとの関係が長く、何に使うかを考える工程が自社の外にある。前の連載で書いた構造です。

売り先が外に広がることと、翻訳ができるようになることは、別の作業です。ECを始めても、説明が変わらなければ結果は変わりません。

ALTEVOはこう考えています

地方の企業に、特別な方法があるとは考えていません。

扱うべきことは、この連載で書いてきたことと同じです。何を防いでいるのかを記録する。できないことを書く。目的と手段を分ける。

違うのは、順序です。

1  ★ 売り先の制約が、いまも本当に存在するかを確かめる
   物流コストが効く事業なら、制約は残っている
   情報とデータで完結する部分なら、すでに外れている
2  外せる部分から、翻訳を始める
3  翻訳できた範囲で、売り先を広げる

1を飛ばすと、2と3が空振りします。制約が残っている領域でECを始めても、物流コストで成立しません。

企業搭載型BIで扱おうとしているのは、自社の事業のどこに地理の制約が効いていて、どこには効いていないかを分けられる状態です。

全部が制約されている会社は、たぶんありません。分けていないだけです。

ただし、これは仮説です。

私たちに解決できないこと

この連載でも、できないことを書いておきます。

★ 人口の流出そのもの
★ 地域の消費の回復
★ 物流コストの構造
★ 地域内の商習慣や、取引の慣行

どれも、1社の仕組みで動く対象ではありません。

そして、もう1つ。「デジタルを使えば地方は再生できる」という話にはしたくありません。

リモートワークもECも、手段として有効です。ただ、それが機能するのは、地理の制約が外れている領域に限られます。手段の有効性と、適用できる範囲は別の話です。

この記事で書けるのは、制約を分けると動かせる部分が見える、ということまでです。

反証:分けても、動かせない場合があります

限界を書きます。制約を分けた結果、ほぼ全部が制約されている事業は実在します。

重量物の加工、生鮮品、現地での施工を伴う工事。これらは、距離の制約が事業の中心にあります。分けても、外せる部分がほとんど残りません。

この場合に必要なのは、販路の拡大ではなく、地域内での地位を確かなものにすることです。外に出る話と、中で強くなる話は別です。

もう1つ。ECやD2Cは、始めれば売れるものではありません。販路が広がると、競合も全国になります。地域内で選ばれていた理由が、全国では通用しないことがあります。

制約が外れることと、競争が有利になることは、別のことです。

次回で、この連載は終わります

この6週間で、日本経済の構造的課題を25本にわたって扱いました。

1本目に、こう書きました。

これを25個の問題だとは考えていません。 1つの構造から出ている、25の症状だと考えています。 その構造が何かは、最後に書きます。

次回、そこに答えます。

次回

次回で、この6週間に扱った25の課題を1つにまとめます。

この課題に、ALTEVO は2つの形で向き合っています。

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