守るべきものと、変えるべきものをどう分けるか
続けてきたことが信頼の源泉になる場合と、適応の遅れになる場合があります。その境目を考えます。
目次
前回、書ける事実を増やすことが先だという話を書きました。ただ、書けることを増やしても、やり方そのものが古くなっていることがあります。
続けることは、信頼の源泉です
同じ場所で、長年愚直に続ける。これは、それ自体が信用になります。
取引先が安心して任せられるのは、来年も同じようにやっていると分かるからです。変わらないことが価値になる場面は、実際に多くあります。
ただし、その継続性が技術革新への適応を遅らせている場合、強みがそのままリスクに反転します。
「変えよう」も「守ろう」も、答えになりません
全部変える ★ 強みだった部分まで失う
全部守る ★ 変化に取り残される
どちらも極端ですが、議論はたいていこの2つの間で往復します。理由は、変える対象が特定されていないからです。
変えるべきかどうかを、会社全体で議論することはできません。粒度が粗すぎます。
目的と手段を分けます

目的 ★ 何のためにそれをしているか
手段 ★ そのために、どうやっているか
守るべきなのは目的です。変える対象になるのは手段のほうです。
目的 納期を守る ★ 変える理由がない
手段 毎朝、電話で進捗を確認する ★ 手段は時代で変わる
電話が最適だった時期は確かにありました。いまも最適かどうかは、別の問題です。
多くの組織で、この2つが一体になっています。「毎朝電話で確認する」が長く続いた結果、それ自体が守るべきものとして扱われる。手段が目的に昇格している状態です。
なぜ、昇格するのか
目的が記録されていないからです。
手段は毎日実行されるので、全員が覚えています。一方、「なぜそれをやっているか」は、始めた人しか知りません。その人が辞めれば、理由ごと消えます。
残るのは手段だけです。理由が分からない手段は、変えていいかどうかが判断できません。だから、そのまま守られます。
この連載で何度も出てきた構造です。決定は残るが、理由は残らない。
ALTEVOはこう考えています
変えるべきかどうかの判定は、1つの問いでできると考えています。
その手段は、どの目的のために始まったのか。 その目的は、いまも成り立っているか。
目的が生きている + 手段が最適 ★ そのまま続ける
目的が生きている + 手段が古い ★ 手段だけ変える
★ 目的が消えている ★ 手段ごとやめる
3つ目が、最も見つけにくい。目的が消えていることに、誰も気づいていないからです。
企業搭載型BIで扱おうとしているのは、この判定に必要な材料です。いつ、どの目的で、その手順が始まったのか。この記録があれば、判定は会議の場でできます。
ないと、「昔からこうだから」と「とにかく変えよう」の間で止まります。
ただし、これは仮説です。
反証:目的が言語化できない強みがあります
はっきりした限界があります。理由を説明できないが、結果として機能している手順があります。
職人の手順、現場の段取り、接客の間合い。本人も理由を言語化できていないが、それをやめると品質が落ちる。
こうした手順に「目的は何か」と問うと、答えが出ません。答えが出ないことを理由に廃止すると、失ってから気づくことになります。
見分ける目安は、やめた結果を元に戻せるかどうかです。戻せるなら試してみる価値があります。戻せないなら、理由が分からなくても残す。
もう1つ。目的が生きているかどうかの判定自体が、間違うことがあります。
「この確認はもう不要だ」と判断して外した後に、外したから起きた問題だと気づくまでには時間がかかります。判定を記録しておかないと、因果を後から辿れません。
変える判断にも、記録が要ります。
次回
ここまでは、企業の内側の話でした。同じ逆転が、地域の単位でも起きています。
地方の中小企業は、人口流出と消費減少と物流コストの三重苦を抱えています。ただ、この構造には反転の可能性もあります。
次回は、そこを扱います。逆回転は、どこで止められるのか。
この課題に、ALTEVO は2つの形で向き合っています。