読了 約6分 構造課題

出ないという判断は、いつ下されたのか

国内市場は縮小しています。それでも海外を考えない状態は、判断された結果でしょうか。

連載 作る力が、伝わらない 第4話/全5話
海外展開を検討しない状態が、判断ではなく検討の不在として続いている構造を示した図
目次
  1. 「海外は、うちには関係ない」
  2. 検討していないことと、検討して見送ったことは違います
  3. 「三重苦」は、順序の問題かもしれません
  4. ALTEVOはこう考えています
  5. 反証:出ないことが正しい場合は、普通にあります
  6. 次回

前回、技術と事業価値の間に翻訳の工程が抜けている、という話を書きました。その状態のまま、国内市場は縮小していきます。

「海外は、うちには関係ない」

少子化によって国内市場が縮小することは、ほぼ確実な前提として共有されています。それでも、海外展開を検討していない中小企業が大多数だ、と指摘されてきました。

理由としてよく挙がるのは3つです。

言語の壁
リスクを避ける姿勢
海外の法務・税務の知識がない

どれも事実だと思います。ただ、これらは「なぜ出ないか」の説明であって、「いつ出ないと決めたか」の説明ではありません。

検討していないことと、検討して見送ったことは違います

「出ない」には2つの状態がある

状態A  検討した結果、見送った     ★ 判断がある
状態B  ★ 検討する機会が、一度もなかった

Aであれば、前提が変われば再検討できます。為替が動いた、現地の規制が変わった、取引先が海外に出た。見送った理由が記録されていれば、その理由が消えたときに気づけます。

Bでは、再検討の機会も来ません。議題に上がったことがないものは、議題から外れたことにも気づけないからです。

この連載で繰り返し出てきた構造と同じです。決めた覚えのない状態は、見直す対象になりません。

「三重苦」は、順序の問題かもしれません

言語、リスク回避、法務税務の知識。この3つは、同時に解決する必要がありません。

検討の段階   ★ 3つとも不要。市場があるかどうかだけ
試す段階     翻訳と、最小限の契約確認
本格展開     ★ ここで初めて、3つ全部が必要になる

多くの場合、本格展開の要件を検討の段階に持ち込んでいます。全部そろえてから考えようとすると、そろわないので考えないまま終わります。

本来、検討に必要なのは「自社の製品を買う相手が、国外にいるか」だけです。

ALTEVOはこう考えています

海外に出るべきだ、とは考えていません。

出るかどうかは事業の判断で、外から勧める性質のものではありません。私たちが扱えるのは、その判断ができる状態にあるかどうかです。

いまの顧客は、どの地域にいるか
その地域の市場規模は、今後どう動くか
★ 同じ製品を、国外で買う相手は存在するか
★ 過去に検討したことはあるか。あるなら、なぜ見送ったか

4つ目が要点です。見送った記録があれば、判断になります。なければ、ただ検討していないだけです。

企業搭載型BIで扱おうとしているのは、この種の「決めていないこと」を見えるようにすることです。決定の記録だけを残すと、決めなかったことは永久に見えません。

ただし、これは仮説です。

反証:出ないことが正しい場合は、普通にあります

限界をはっきり書きます。国内だけで事業が成立するなら、出る必要はありません。

地域に根ざした事業、国内の制度に依存する事業、物流コストが効く事業。これらは、国外に出ると構造が壊れます。

そして、海外展開には失敗の事例が多数あります。現地の商習慣、代金回収、品質基準、撤退の難しさ。縮小する市場に残るリスクと、慣れない市場に出るリスクは、どちらが大きいか一概には言えません。

もう1つ。「検討の記録を残しましょう」と言うのは簡単ですが、検討には時間がかかります。日々の業務で手一杯の組織に、使うかどうか分からない検討を求めるのは、負担の押し付けになり得ます。

この記事が言えるのは、「出ないと決めたのか、決めていないだけなのか」を区別しておくと、後から効く、ということだけです。

次回

この連載の最後に、最初の問いに戻ります。

良いものを作っている会社ほど、発信では不利になる。その構造は、どこから来ているのか。

次回は、そこを扱います。本物を作る会社は、何を発信すべきか。

次回

次回は「『作る』から『操る』への変質」を扱います。本物を作る会社は、何を発信すべきか。

この課題に、ALTEVO は2つの形で向き合っています。

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